2005年03月01日

『猫が十二支に入らぬわけ』

「ネ・ウシ・トラ・ウ・・・・・て数えっけどよ、猫がねえべ。

なして入んねがったんべな」

 ちょうどお釈迦さま死んだどきよ、みんながお釈迦さまのお参り行がんなねべ。
ほして猫もねずみに行き会ったど。
「お釈迦さまのお参り、何日だべ」
 ほしたら、何時何時だどて、ねずみ、そのひにち教えだんだと。
「猫ど一緒に行ぐど、おら、おっかねし」
て、一日(ひして)遅ぐ教えだんだど、ねずみぁ。
 それから、猫ぁその次の日、一日遅っでお釈迦さまの涅槃のどごさ、わらわら行ってみだら、誰も来てねがったど。ほうしたらば門番が来て、
「なえだ、こりゃ猫、何しに来たごんだ」
なて。
「今日、あのお釈迦さまのお葬式で来たんだ」
て言うたば、
「お葬式なの、昨日終わったなだぜ」
「ねずみに、今日だって教えらっだ、ほに」
 それがら猫ぁごしゃえで、ねずみどこ、一生懸命とるようになったなだど。
それで十二支さ猫入らんねがった。ねずみに嘘語らっで・・・。
どーびんと。
山形弁訳
「ネ・ウシ・トラ・ウ・・・・・・って数えるけれども、猫はないだろ。なんで入らなかったんだろうな。」
ちょうどお釈迦さまが死んだときよ、みんながお釈迦さまのお参りに行かなきゃならないだろ。
そして猫もねずみに行き会ったと。
「お釈迦さまのお参り、何日だっけ。」
そうしたら、何時何時だって、ねずみ、その日にち教えたんだと。
「猫と一緒に行くと、おれ、怖いし。」
って一日遅く教えたんだと
 それから、猫は、その次の日、一日遅れてお釈迦さまの涅槃(ねはん)のところに、急いで行ってみたら、誰も来ていなかったんだと。そうしたら、門番が来て、
「なんだ、こりゃ猫、何しに来たんだ。」
って。
「今日、あのお釈迦さまのお葬式で来たんだ。」
って言ったら、
「お葬式なんて、昨日終わったんだぜ。」
「ねずみに、今日だって教えてもらったんだ。」
それから猫は、怒って、ねずみを、一生懸命とるようになったんだと。
それで十二支に猫は入れなかった。ねずみに嘘つかれて・・・。
どーびんと。